夢

ここに通いだしてもう何年経つだろうか…。

今では座ればサッと切ってくれる間柄になった。

ゆっくりとしたクラシックな音楽と

清潔感のある緑の匂いがするお店だ。

古い物達がお店には並べられていて

生成りの店内に、アイボリーのタイル

障子の向こうには盆栽も見える。

いつものように椅子に腰掛け

「今日もいつものようにかな？」

いつものように聞いてくれる店主

ここの店主はあまり多くは話さない。

心地よい鋏の音がリズミカルに店内に響く…。

ついついウトウトしながら

髪を切られてることも忘れて眠りに落ちてしまう…。

「こんな感じでどうだい？」

眠りの向こうからの問いかけに

ぼくはフッと顔を上げる…。

(ピピピッ、ピピピッ……)

また映画を観ながらソファーで寝てしまってたようだ。

何度も観てる映画を流しながら寝るのが何故か心地よい。

お昼前

目覚めのシャワーと暑い珈琲と

聴こえてくるのはCHET BAKER

確か今日は予約した日だったなぁ。

さぁ、着替えて行こうか

いつもの理髪店へ…。